Aランクの依頼

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その時奥で大きな吠え声が聞こえて、無数の小さな魔物に続いて出て来たのは沢山の蛇。 その後から巨大な蟒蛇のような蛇の姿が見える。 さすが、ランクAの依頼だよね。 複合的すぎる。 僕は、小さな魔物・・・所謂蝙蝠を先ずは落とす事にして、魔力球の幾つかを変質させる。 「耳を抑えて!」 大きな声で警告した僕に、慌てて耳を抑える男を確認した後、魔力球を破裂させる。 周囲に大きな音が響き渡った。 次々に蝙蝠が奇声を上げて地面に落ちる。 僕は、それを次々に影で作った矢で撃ち抜く。 その様子に男は眼を見張る。 僕が放つ矢の隙間を縫うようにして、蛇が狼が近づいてくる。 男は悲鳴を上げる。 もう、戦うつもりと言うか、その気力すらも無いようだった。 僕は魔力球を、男の周囲に渦を巻くようにして展開させると、近寄る魔物達を次々に魔力球で跳ね飛ばしながら、影を操作して作った矢で次々に撃ち抜く。 その様子に、眼を見張る男とジェム達。 「仕方ないですね。大きな魔法は洞窟を潰しかねないので放てませんので、貴方達にはこの魔法で眠っていただきます」 僕は襲い掛かって来ようとする魔物達にだけ、聞こえるように魔力を込めた声を発する。 「『お休みなさい』」 それと同時に、魔物達は一斉にバタバタと地面に倒れる。 あの、大きな魔物ですらも。そしてそれらは全てが影の中に沈んで行った。 全部が消えると、僕は魔力球を再び見えない形にしてから、指を鳴らし結界を解除する。 「ふう。もう大丈夫です。全く無茶な事をしますね?確認もせずにあんな危険な行為をするから、全ての魔物達を討伐する事になってしまったんですよ?」 僕が眉を寄せて男に言うと、男は僕を睨みつけて怒鳴る。 「う!煩い!ガキの癖に何を偉そうに、大人に意見なんかしてんだ!貴様は、命令違反を犯してんだぞ!判ってるのか!この場は、俺が指導者なんだ!俺が撤退と言ったら撤退なんだ! それをお前は逆らったんだぞ!たまたま討伐が上手く行ったから良かったようなものの、全員が死ぬ可能性だって有ったんだぞ!判ってるのか!」 僕は、その男性を見上げて言った。 「貴方の判断は間違えてはいなかったと、仰いますか?」 僕の言葉に、胸を張って言う男。
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