100 million

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祖父母の墓は花立香焚をスライドさせると開くタイプだった。自力では分からず墓石を前にスマホで検索するという情けなさだ。 最初だけ力が必要だったが、あとはするすると動いた。 「あれ。」 中に骨壺が2つ既に納まっている。入っているのは祖母のものだけのはずが2つあった。大きさは僕が持って来た祖父のものより一回り小さかった。 業者の言葉が甦った。 一体、誰のものだ。 恐る恐る既に納まっていた方の蓋を取る。想像を裏切らず2つとも遺骨が入っている。 手前の骨壺には一枚の紙も一緒に入っていた。 紙に書かれていたのは母の文字だ。 『これはおじいちゃんの骨よ』 壮大な祖父のイタズラなのだろうか。案の定、母は母で祖父からの託けがあったのだ。 イタズラな笑みを浮かべた祖父の顔が思い浮かぶ。
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