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「江茉。聞いて」
「やだっ」
苦しげに吐いた涙声に胸が痛む。
「おじさんもおばさんももうあそこにはいないよ。勿論ウメさんもいない。誰もいないんだ」
彼女の顔を胸に押し付け、耳元で優しく話す。
「でも」
「だから、行かないで」
「約束したから」
腕の中から縋るように見つめているのは、すぐ側にいる俺ではなく
「早く帰るって、お父さんとお母さんと約束したから」
廃墟と化した、愛しき記憶。
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