第14話

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鞄を置いたままのデスクに戻ると、頬をぱんぱんに膨らませた不満顔の飯山さんに指示を出し、すぐにそこを出た。 「雛森から返信があったら連絡して」 しつこい程にそう付け足して。 「もしもし。忙しいところすみません」 会社から駐車場に向かう途中、雛森とは違う番号を呼び出し、電話をかけた。 いつものことながら、ワンコール鳴っただけですぐに繋がる手間のなさが有り難い。 「頼みたいことがあるんですが」 そう切り出し、車に乗り込むと、用件だけを告げて通話を終わらせた。 エンジンをかけ、発進させる。 いつもより多少運転が荒くなるのは、どこか気持ちに焦りがある証拠か。
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