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鞄を置いたままのデスクに戻ると、頬をぱんぱんに膨らませた不満顔の飯山さんに指示を出し、すぐにそこを出た。
「雛森から返信があったら連絡して」
しつこい程にそう付け足して。
「もしもし。忙しいところすみません」
会社から駐車場に向かう途中、雛森とは違う番号を呼び出し、電話をかけた。
いつものことながら、ワンコール鳴っただけですぐに繋がる手間のなさが有り難い。
「頼みたいことがあるんですが」
そう切り出し、車に乗り込むと、用件だけを告げて通話を終わらせた。
エンジンをかけ、発進させる。
いつもより多少運転が荒くなるのは、どこか気持ちに焦りがある証拠か。
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