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「お疲れ様でした」
午後は休診の為、既に事務所を閉めている職員に笑顔で声をかけられ、「遅くなってすみません」と笑顔を返した。
いつもなら世間話でもして帰るところだか、今日だけはそんな訳にいかず、足早に正面玄関を出て駐車場に向かう。
『確認しましたが、アパートにはいらっしゃらないようです。いつもお持ちになっている荷物は部屋に残されていましたので、本当に身軽な格好で出ていかれたのではないでしょうか』
待たされている間に鳴った携帯の内容を思い出し、車のドアを開ける。
『携帯はベッド脇に置かれたまま。彼女の行き先は不明です』
付け足された言葉に眉を潜めた。
『捜索願を』
続けた犬童さんの言葉に『ちょっと待った』をかけ、『また後で連絡する』と告げて電話を切った。
アパートにいない。
会社にも来ていない。
……って、じゃあ、雛森は一体どこに?
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