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『もしもし』
「雛森探しに行く。そっち任せていい?」
『あ、はい。大丈夫です。収穫なし。ってことはないかと思いますが……』
「今日中には見つかると思う。っていうか、見つける」
『分かりました。ちなみに僕は』
「待機」
『ですよね。連絡お待ちしてます』
「分かった」
こんな状況にも関わらず、どこか間延びしたようにゆっくりと話す『課長』モードの乾さん。
雛森に関することには一切触れず、遠回しながらも簡潔に俺との会話を済ませたのは、朝からずっとあちらこちらに聞き耳をたて、気を病んでいる飯山さんに配慮してのことだろう。
まぁ、彼のことだから何かあっても上手くやり過ごしてくれるだろうとは思うが。
とりあえず、これで会社の方は心配なし。
通話を終わらせた携帯をポケットに入れ、車のエンジンをかけた。
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