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『神崎さん、江茉さんなんですけど』
池永クリニックの駐車場。
携帯から聞こえる、声を潜めた飯山さんの言葉に表情を固めた。
「出勤してない?」
『はい。何回か連絡してるんですけど繋がらなくて。神崎さん、何か聞いてますか?』
心配そうな声。神妙な面持ちで話す彼女の様子が容易に想像できた。
彼女個人の携帯から俺に直接かけてきたということは、あまり大事にはしない方がいい。と判断してのことだろう。
「何か……聞いた訳じゃないけど」
最近の雛森を思い出し、言葉を濁した。
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