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柔らかな唇。
細い腰。
与えたら、それ以上に応える熱。
ほんの数時間前までは、確かにこの腕の中にあったのに。
ようやく捕まえたと思ってたのに。
この心許なさはなんだろう。
霧雨が景色を濡らす。
雛森は傘を持っているだろうか。
雨に濡れて凍えてはいないだろうか。
逸る気持ちを抑えきれず、赤信号にイラつき、数台の車を追い越して先へ先へと急いだ。
自分は何も出来ない。
そんな不甲斐ない思いは、もう二度としたくなかった――
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