第14話

22/37
前へ
/37ページ
次へ
柔らかな唇。 細い腰。 与えたら、それ以上に応える熱。 ほんの数時間前までは、確かにこの腕の中にあったのに。 ようやく捕まえたと思ってたのに。 この心許なさはなんだろう。 霧雨が景色を濡らす。 雛森は傘を持っているだろうか。 雨に濡れて凍えてはいないだろうか。 逸る気持ちを抑えきれず、赤信号にイラつき、数台の車を追い越して先へ先へと急いだ。 自分は何も出来ない。 そんな不甲斐ない思いは、もう二度としたくなかった――
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2386人が本棚に入れています
本棚に追加