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…――バタン。
と、車のドアを閉める音が辺りに響く。
車も人も殆ど通らない道だから、少しの間路駐したって心配はない。
「……」
傘をさし、霧雨の中を歩いた。
覗いても向こう側が見えない錆びた鉄の門。
蔦が絡まり、開けられた気配はない。
中を伺うことはできず、アスファルトが剥がれた歩道を、ボロボロの塀に沿って歩いた。
視線を落とせば、所々から顔を覗かせる雑草。
長い間手入れされていなかったことは一目瞭然だった。
「……」
ある場所で立ち止まり、そこを見つめる。
塀の下。長く伸びた雑草。
掻き分けた跡。
人が通った、気配。
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