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「雛森。俺に婚約者がいるって噂は知ってたよね」
「あ、はい。と、思います。多分」
「相手が誰とかは?」
「そこまでは……ちょっと。って、あれ?でも」
「一緒にいた男性。よく乾課長だって分かったね」
「あぁ、それは私が」
続けざまに投げられる俺からの質問にテンポよく答えていた彼女は、最後の答えを途中で止め、口を開けたまま固まる。
「?」
首を傾げ、その続きを待った。
「私が、あの」
「うん」
ハッキリ言わない彼女にじれったさを感じ、すぐさま頷いてその先を促す。
「……気がつきました」
そう呟くと、飯山さんの頬はみるみるうちに赤く染まっていった。
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