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一緒に風呂に入り、あがると大虎が心羽の髪を乾かす。
鏡越しに、髪を乾かされながら目を瞑っている心羽に大虎は顔を緩め、その間に目の前の頭へキスを落とす。
終わったら寝るまでのひと時はソファの上で、大虎がグラスを傾ける横で、心羽は大虎の肩に寄り掛かりボーっとした。
テレビのニュースを半分聞き流し、寝そうになる心羽を起こすように大虎はキスをする。
そのまま抱きあげて寝室へと移動し、まどろむ心羽へと深くキスを落とした。
頬から首、肩へと手が滑り、身をよじる心羽を押さえるように体重がかかる。
唇が首筋を通り鎖骨へ移動すると、心羽は甘くため息を吐いた。
「はぁ、……たいが、」
「……あぁ、」
「抱きしめて、欲しい」
顔を上げた大虎は、じっと心羽の瞳を見つめた。
「何かあったのか?」
いつもならこのタイミングでは言われないと僅かに眉が寄った。
心羽の顔の横で肘をつき、反対の手で頬を撫でる。
閉じていた目をゆっくり開いた心羽は、頬を染めふわりと微笑んだ。
「あのね、」
「っ、」
「“今日”大虎と出会ったから、」
大虎が思いだすのは、自分が心羽を見つけた瞬間。
だが、心羽は僅かに首を横に振って目を細めた。
「私が、大虎と出会った日だから」
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