1 日常

15/16
1707人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
一緒に風呂に入り、あがると大虎が心羽の髪を乾かす。 鏡越しに、髪を乾かされながら目を瞑っている心羽に大虎は顔を緩め、その間に目の前の頭へキスを落とす。 終わったら寝るまでのひと時はソファの上で、大虎がグラスを傾ける横で、心羽は大虎の肩に寄り掛かりボーっとした。 テレビのニュースを半分聞き流し、寝そうになる心羽を起こすように大虎はキスをする。 そのまま抱きあげて寝室へと移動し、まどろむ心羽へと深くキスを落とした。 頬から首、肩へと手が滑り、身をよじる心羽を押さえるように体重がかかる。 唇が首筋を通り鎖骨へ移動すると、心羽は甘くため息を吐いた。 「はぁ、……たいが、」 「……あぁ、」 「抱きしめて、欲しい」 顔を上げた大虎は、じっと心羽の瞳を見つめた。 「何かあったのか?」 いつもならこのタイミングでは言われないと僅かに眉が寄った。 心羽の顔の横で肘をつき、反対の手で頬を撫でる。 閉じていた目をゆっくり開いた心羽は、頬を染めふわりと微笑んだ。 「あのね、」 「っ、」 「“今日”大虎と出会ったから、」 大虎が思いだすのは、自分が心羽を見つけた瞬間。 だが、心羽は僅かに首を横に振って目を細めた。 「私が、大虎と出会った日だから」
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!