1733人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぁぁぁあぁ、」
室内に全く遠慮の知らない欠伸の声が広がった。
声の原因はグッと大きく伸びをすると、今度はだらりと腰掛けたままのソファへ身を沈める。
この部屋にあるのはテーブルと、それを挟むように置かれた2人掛けソファ2台に、反対の対で一人掛けのが2台。
そして奥の壁のほとんどがガラス張りの、それを背負うように存在感のあるデスク。
付随する座り心地のよさそうな、革張りのイス。
そこに腰掛けていた男は、ソファに身を預ける男の事はちらりとも見ず、立ち上るとガラス張りのそこから下に視線を送った。
「……トラちゃーん。完全にその日課、癖になってるよね」
「…………、」
ゆっくり振り返った“トラちゃん”こと、柴崎大虎は信じられないというように片眉を持ち上げた。
それからゆっくり靴音を鳴らしながらソファまで来ると、だらけ切った男、ライトの向かいにどさりと座る。
そうして。
「……なにがだ」
しらじらしくもそう言って、胸ポケットから煙草を取り出すと口にくわえた。
最初のコメントを投稿しよう!