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夕方のカフェ『ciel』に今日もまた平和な時間が訪れていた。
「ふーっふーっ……ズズッ……っっっぢ!」
コーヒーを必死で覚まし、しかし一口目でやけどをするこの男は銀だ。
「銀ちゃん……相変わらずよね」
「うっせーぞ心羽……ズズッ」
大虎はカウンター席からちらりと後ろを振り返り銀を見つめる。
こいつらいつから心羽を簡単に呼び捨ててくれるようになったんだ?
矢部はもとよりライトに銀まで。
ぶつぶつと心の中で唱える大虎に心羽が首をかしげながら、大虎の空のカップへおかわりを注ぎつつ口を開いた。
「……猫舌の銀二」
「ぶっ!!あーっ……っぢ!!」
噴き出した銀は心羽が渡したおしぼりで口を押さえる。それをちらりと見た大虎が次第に肩を揺らしだした。
「くくっ……ぷっ!くくくっ」
「……久々にツボに入ったようだな」
ブシが冷静にコーヒーをすすりながら呟く。くつくつと笑っていた大虎はとうとう思い切り笑いだした。
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