1 日常

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「そろそろ行くぞ」 時計も見ずに立ちあがり、その声を追うようにドアまでカウンターから出てきた心羽の頭を撫でる。 そしてさっさと店から出て行った大虎に、ライトたちはくつくつと肩を揺らした。 「あれ、絶対照れてたよね」 「心羽さんと暮らし始めてからの自分の変化に気付いてなかったんだろうな」 「タイガーが柔らかくなったのはココっちのおかげだなー」 「俺をからかう事なんて今までなかったしな」 最後の矢部の言葉はやや根に持った言い方だったが、それでも表情が崩れ苦笑を洩らす。 男達の言葉に心羽もまた少し照れくさそうに目を伏せて、ひらりと手を振った。 大虎が自分と出会ってから良い方に変わったのなら嬉しい。 自分もまた、大虎と出会ってから自分に無理することがなくなった。 店に来る客との距離も以前よりは近い。 人見知りは完全にはなくならないし、それはもちろんどんな人でもある事だとは思っている。 自分だけの事ではないのは理解している上で。 家に帰れば大虎がいる状況に、全部の疲れを落としほっとできる今、とても幸せだと感じていた。
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