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あれから三週間経った。
ヤクショってとこから、チョウサが来て開けたら匂いにびっくりして、中に入ろうとしたからダメですって、僕が追い返したんだ。
パパとママが喧嘩を始めたんだ。
ママは鬼みたいな顔でパパに掴みかかって、お姉ちゃんが止めに入ったはずなのに、お姉ちゃんも鬼みたいな顔で三人で大喧嘩になった。
おまわりさんが来た。
お隣のおばさんが呼んだみたい。大きい音がしたからびっくりしたんだきっと。
でも三人で謝って「ただの喧嘩」ってことで帰っていった。
後ろからおばさんが僕の顔を心配そうに見ていたから、ニッコリ笑ったら、もっと心配そうになった。
おまわりさんが帰ってから、お腹が空いたよって言ったら、もうご飯もなくて、戸棚に一個だけカップラーメンがあって、それを四人で分けたんだ。
ちょっと仲良くなった気持ちで嬉しかった。
温かくておいしかったな。
その日の夜中、みんな何だかガサガサやってた。
僕は学校があるから、早く寝た。
いつもみたいに学校に行って、給食食べておうちに帰ったんだ。
「ただいまー!」
返事がなかった。
おうちがしぃんとしていたんだ。ママもパパも居なくて、家中探した。
そういえば、朝はみんな寝てたんだ。きっと昨日遅かったから。
お姉ちゃんは学校かな?今日は行ったのかな?と思ってお部屋をみたら、お姉ちゃんのタンスが開いてて中に何もなかった。
お姉ちゃんのお部屋に泥棒が入ったんだ!!
慌ててパパとママを呼んだんだ。でもパパもママも居ない。
パパとママのタンスも開けたら、ちょっとしか入ってなかった。
やっぱり泥棒だ!!
一億円あるから泥棒が入ったんだ!!
どうしたらいいかわからなくて、テーブルを見ると
『りょうちゃんへ
パパとママ、おねえちゃんはみんなバラバラにくらします。
りょうちゃんも、ひとりでがんばってください。
これはりょうちゃんのぶんです』
と手紙があって、隣には紙でくるっと巻いた一万円札の束がひとつあった。
……どうしよう……
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