1

4/21
前へ
/273ページ
次へ
甘いマスクと柔らかい物腰で騙されがちだが、小野寺は案外頑固で粘り強く、手抜かりがない。 普段は優柔不断のくせに、一度決めると全くブレない芯の強さを持っている。 しかし、普通の人とはちょっと感覚がズレていて、時折、突拍子もないことで人を驚かせるのだ。 周りの奴らは、男勝りの堀が小野寺を振り回していると思っているが、振り回されているのは、実は堀のほうである。 「いやいやいや…おかしいから。小野寺さんの勢いは置いといて。普通、お嫁さんの方が結婚式に全力注ぐもんでしょ」 森山さんがもっともな意見を述べると、堀は目を細めて、口を尖らせた。 「え~…だって、婚姻届さえ出せば結婚成立だし。ドレスを何着も着替えるのとか面倒くさいし」 おいおい。 それって、本来、男のボヤキだろ。 こりゃ、小野寺に何着もドレスを試着させられて、きっと、うんざりしたんだな。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11834人が本棚に入れています
本棚に追加