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甘いマスクと柔らかい物腰で騙されがちだが、小野寺は案外頑固で粘り強く、手抜かりがない。
普段は優柔不断のくせに、一度決めると全くブレない芯の強さを持っている。
しかし、普通の人とはちょっと感覚がズレていて、時折、突拍子もないことで人を驚かせるのだ。
周りの奴らは、男勝りの堀が小野寺を振り回していると思っているが、振り回されているのは、実は堀のほうである。
「いやいやいや…おかしいから。小野寺さんの勢いは置いといて。普通、お嫁さんの方が結婚式に全力注ぐもんでしょ」
森山さんがもっともな意見を述べると、堀は目を細めて、口を尖らせた。
「え~…だって、婚姻届さえ出せば結婚成立だし。ドレスを何着も着替えるのとか面倒くさいし」
おいおい。
それって、本来、男のボヤキだろ。
こりゃ、小野寺に何着もドレスを試着させられて、きっと、うんざりしたんだな。
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