11834人が本棚に入れています
本棚に追加
「よしよし。しーちゃん、渚、メソメソしてたってしょうがない。なんとかなる。大丈夫、大丈夫」
腕の中にいる二人の背中をポンポンと叩いて、励ました。
「とりあえず、二人とも俺んとこに来い」
「えっ⁉」
ガバッと勢いよく顔を上げたのは、しーちゃんだ。
真っ赤な目を大きく見開いている。
渚は、「うん。わかった」とためらうことなく、すんなり答えた。
「ちょ、ちょっと待って、渚!」
「なんで? 俺達の家、燃えちゃったから、ヒコさんちに行くしかないじゃん」
「でも、それは、あのっ」
「しーちゃん、渚の言う通りだ。一旦、俺んちに緊急避難。それともどこか行くあてあるの?」
「うっ……それは……」
「ないようだな。じゃあ、決まりだ」
「決まり!決まり~!」
泣きべそかいていた渚は、嘘のようにご機嫌で笑っている。
いわゆる『泣いたカラスがもう笑った』という奴だ。
しーちゃんは、まさかの急展開に、口半開きで呆気に取られたままだ。
最初のコメントを投稿しよう!