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「ヒコさーん、しーちゃんはいつもこれだよー」
そう言って差し出されたのは、色気もへったくれもないベージュのブラジャー。
目の前で『D65』と記載された紙が揺れていた。
「……しーちゃん、意外といいもの持ってるんだな」
「ギャー――ッ!」
渚の手から物凄い勢いで、しーちゃんはブラジャーを奪い取った。
見ると、茹蛸のように顔が真っ赤になっていて、耳まで赤い。
…やっぱり若いな。ブラジャーごときで恥ずかしかるとは。
でも…しーちゃん、ほっそいのに……着やせするんだな…
いやいや、待て待て。何考えてる、俺。
脳内で自分にツッコみながらも、表面上は至って平静を装う。
「渚、同じ奴の色違いをあと5枚くらい持ってこい」
「持ってこなくていいから!」
「じゃ、俺が選んでやろうか?」
「結構です!!」
ピューッと効果音がつきそうな勢いで、茹蛸のしーちゃんは逃げて行った。
その姿を見送れば、自然と渚と視線が合い、同時に「ブッ」と吹き出した。
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