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「渚、わざとか?」
「ああでもしなきゃ、買い物がすすまないもん」
「お前、策士だな」
「さくし?」
「賢いってことさ」
「ふーん…まあ、いいや。とりあえず、今のうちにレジしたほうがいいんじゃない?そうしないと、しーちゃんとまたもめちゃうよ」
「フフン…さすが策士」
「それ、褒めてんの?」
「褒めてる。褒めてる」
訝し気に俺を見上げる渚の頭をわしゃわしゃ撫でてやると、「またぁ」と口を尖らせながら、渚は跳ねている髪を手櫛で整える。
俺の小さな友人は、落ち込んでばかりではいられないと、すでに頭を切り替えたようだ。
素直で逞しい。いいことだ。
「よし!しーちゃんのいない間にさっさと済ませよう」
ニッと笑えば、渚も同じように右の口端を上げて応えた。
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