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当面の必要なものを買いそろえ、大荷物を抱えて、わが家へと帰ってきた。 渚はニコニコ上機嫌で、しーちゃんはだんまりでまだ不機嫌状態。 下着は自分で買ったが、それ以外は全部俺が支払ったからだ。 「とりあえず、この部屋が余っているから、二人で使ってくれ。今日買った荷物もここに置いとくぞ」 俺は、書斎の隣の部屋の扉を開けて、買ってきた荷物を置いた。 7畳ほどの洋室で、物置と化していた部屋。 といっても、さほど荷物も置いてなかったから、それらを自分の寝室へ移動すれば大丈夫だろう。 「ヒコさん…あの……」 しーちゃんは、眉間にしわを寄せたまま、上目遣いで遠慮がちに声をかけてきた。 「ん?どうした?」 「あの……私…夕飯つくります」 「え?」 「せめて、そのくらいは……」 その先は口ごもり、俯き加減に視線を逸らした。
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