もう一つのプロローグ

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「いくつになるんだっけ?」 「凛、何歳ですか?」 「おちゃのこ、しゃんしゃーい!」 三歳と言いながら、指は二本しか立ってない。 まだ幼く、上手く指が使えないようだ。 「こら!ちゃんと答えないとダメでしょ」 「アータがいった」 母親は眉間に皺を寄せ、父親である岸谷に呆れた視線を向けた。 「ちょっと、改!変なこと、凛に吹き込まないでよ!」 森園が文句を言うと、岸谷がクスリと笑って、近づいてきた。 「えーいいじゃん。子供が親父ギャクって、可愛いだろ?」 「バッカじゃないの!?」 子供を彼女の腕からひょいと奪い、岸谷は肩車をする。 「すずは、お堅いなぁ。なあ?凛」 「おちゃかーい」 「凛、『た』と『か』が逆。お、か、た、い」 「お、ちゃ、か、い」 「違うって」 「ちがなーい!」 日本語もまだまだ上手く使えないらしい。
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