もう一つのプロローグ

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全く同じ顔の大小が上下に並んで、同じ表情でケラケラ笑いあっている。 「すんげーDNA。お前ら、双子みたいだな」 「荒木さんまで、すずと同じこと言わないでくださいよ」 「さすが課長!そうなんです!精神年齢同じでしょ?」 ハアーと大きく溜息をついた森園だが、どこか嬉しそうだ。 3人の他愛無いやり取りを見ていて、強張っていた心が徐々に解けてゆく。 やっと、ここまで来たんだな… 3年前、偶然出会い、惹かれ合った二人。 だけど、岸谷には婚約者がいた。 身ごもった森園は、シングルマザーになる決意をし、一人去った。 そして、漸く過去を清算し終わり、岸谷は彼女を迎えに行ったのだ。 だから、親子3人となって、まだ数ヶ月。 だけど… 「ちゃんと、父親してるじゃねーか」 「どうですかね?息子に呼び捨てされてますけど」
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