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そこへヒューと木枯らしが横切った。
寒さが身に染みる。
そして、独り身の寂しさも。
「う~、寒みぃ寒みぃ」
わざと明るい声を出し、ホーッと白い息を吐きだした。
今日は、くたびれた。
帰って、さっさと寝よう!
気持ちを切り替えて、冷たい風に体を縮こまらせながら、俺は一人の夜道を急いだ。
そう…この時の俺は、本当に『終わり』だと思っていた。
例え住まいが近かろうが、彼らと関わることはきっとないだろう、と。
まさか、この出会いが
人生を左右する『始まり』だとは知らずに…
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