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あれから3日後、新一から彼女が退院したとの知らせが入った。
本当はもうしばらく入院させたかったらしいが、渚のことを思う彼女の強い希望で、通院しながら食事指導を行い、経過観察するそうだ。
そして、彼女からお礼がしたいと申し出があり、新一から連絡先を教えてよいかどうかの確認が入ったが、やはり断った。
お礼をされるまでのことをやったとは思っていなかったし、正直に言うと、再度、彼女らと接点を持つのが怖かった。
自分が諦めているものを思い出させるからだ。
これ以上、苦い想いをしたくはなかった。
「課長、人事から社食のスタッフがまた辞めるって話がきてますけど…」
眉尻を下げて、部下の堀が報告にきた。
「ああ、またか…」
見ていた書類から顔を上げ、やれやれとため息を吐く。
「…梅さんですかねぇ」
「かもなぁ…梅さん厳しいからなぁ…」
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