11834人が本棚に入れています
本棚に追加
岸谷は苦笑いしながらも、肩の上で足をプラプラさせている息子に付き合って、わざと肩を揺らし、息子をピョンピョンと弾ませた。
すると、「アータ!もっと!もっとぉ!」とキャッキャと喜んでいる。
「凛、父ちゃん、好きか?」
「とーちゃ?」
俺の質問にキョトンとした表情をしたが、すぐに「あ!」と声を出し
「アータ、だーいすき!」
と満面の笑みで応えた。
子供は感情をダイレクトに表現する。
その純粋さが大人達の感情を動かす。
歳を積み重ねるにつれ消えゆくものを、ふと思い出させてくれる。
周りにいた大人達は、あどけない彼を見て、みんな笑顔になっていた。
「ちゃんと『父ちゃん』だって、認識してるぞ」
「…そう、みたいですね」
軽くポンと背中を叩くと、少し照れ臭そうに頬を緩ませ、岸谷は目を細めた。
最初のコメントを投稿しよう!