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「それはともかくとしてじゃな、最近この世界で少しバランスが崩れてきているんじゃ…原因はわからないし、神竜の力でも防げないんじゃ…」
シオンの顔が曇った。
さっき悲しそうに見えたのは、このことを考えたからなのだろうか?
「しかも、妾達はセッカラムの住人が正しい手順をふみ、妾達を呼ばない限り、妾達はあの世界に行くことはできない」
「この世界がセッカラムなんじゃないのか?」
「違う、この世界は妾達神竜が住む世界。あくまでセッカラムとは違うんじゃよ」
「そうなのか…それは困ったな」
「そこでじゃな…
お主、ちと一役買ってはくれまいか?」
「…は?」
「元々その為に呼んだのじゃが…
原因はもしかしたらセッカラムにある、『ヤヌスの森』にあるかも知れないんじゃ。妾はそこにお主を送ることができる。セッカラムの人々はすでに異変に気づいているんじゃ。もし原因を突き止めて世界のバランスを直せたら…」
そこでシオンは言葉をきった。
そして、ここではないどこかを見るように顔をあげる。
もしかしたら、セッカラムのことを考えているのかもしれない。
「…そうじゃな、お主は「勇者」と呼ばれるかもしれない。つまり、お主には勇者になってほしいと思うんじゃ」
へ?
「勇者ああああああ?」
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