恋愛 1

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駅から走ってはみたものの、 結局ずぶ濡れだ。 11月の終わり。 季節はすっかり冬で、 午後になって急に降り出したどしゃ降りの雨。 エレベータに乗った時には、 体が冷えて身震いをした。 事務所に着くと待ち合わせていたユズルさんが既に来ていた。 ユズルさんも同じようにずぶ濡れ。 「お、 マナトもずぶ濡れー。 」 ユズルさんは仲間を見つけてはしゃいだ声を上げる。 「ユズルさん・・・。 」 「脱がねえと風邪ひくぞ。 」 「はい。 」 ユズルさんの白い肌と濡れた髪が妙に色っぽい。 なんとなく、 目のやり場に困る。 「俺脱いじまったから、 先シャワー使うぞ。 」 「はい、 どうぞ。 」 ユズルさんは、 シャワー室のある奥の部屋へ行こうとして俺の方を振り返る。
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