第1章 エピローグ

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 親は自分が何をしてようと我関せずだったので、年齢を偽ってバイトをした。コンビニバイトだ。嫌な客はいたが、周りの人間からいじめられるよりははるかにましだった。目標は自分で高校に通うこと。何年かかってもいいから高校に通える資金をためて、必死で勉強して、誰にもいじめられない、自分のことを誰もしらない地で一人で暮らしていくんだと決意した。環境のせいにしてはいけない。自分で環境を変えればいいんだ、そう決意して一生懸命働いた。  だがそれも全て無意味だった。中学を卒業して一年半。コンビニのバイトの帰り、貰った給料を確認しようと銀行に向かっていたら突然誰かに頭を殴られた。目が覚めるとそこは自宅。自分は床に無造作に転がさされ、質素な茶色い机の上には自分の通帳がおいてあり、わざわざ見やすいように預金残高のページを開いておいてあった。そこに記されていた数字は0。  目の前の、人の形をした、自らを自分の両親と名乗る何かはぺらぺらと説明をした。曰く、高校にいけるわけもないのに急に勉強しはじめたから怪しみ、机をあさったら通帳が見つかったと。そこには200万ほどのお金がはいっていたと。  そこで何をおもったか、彼らは自分達のためにお金を稼いだのだとおもったらしい。だから頂戴したと。子の持ち物は親のものであると。
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