御伽ばなし

第二章 邂逅

　「……そんな話を信じろ、といわれても……と言いたいところだが。まあこんな状況だし……ひとまず貴方の話を信用する前提で会話をしていこう、ご老体」

夢をみているのかもしれないが、ならばわざわざその夢の否定をする必要もないし。

「話が速くて助かる。お主にはジェト・ムスタという少年に転生してもらう。この少年はいわゆるおぬしのドッペるゲンガーのようなものじゃとおもってもらってよい。パーソナルデータに違いはあるが、根源は同じものじゃ。だからこそ、お主を転生させることができるのじゃが」

「……なぜ、そんな偶然が？」

「確立、としか答えられんな」

「そうか……ならば、その条件とやらを聞かせてもらいたい、ご老体」

「ならば、すこし込み入った話をさせてもらおう。まあ、かなり簡略化して話をするが。
まず、わしの名を明かさせてもらう。わしの名は、オーディン。ここはわしを象徴する世界じゃ。
わしはかつて、人間に近づきすぎて、悪の部分が目覚めてしまいそうになった。天界をあずかるものの一人として、それは絶対にならぬことだった。そこでわしは自らの悪の部分を切り離したのじゃ」