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「私が君をここに連れて来たのは確かだしガイドを引き受けたというか頼まれたのも確かなんだけど」
それでもわたしがガイドさんを見つめていると横からユルバンさんがくつくつと笑いながら
「何だか怪しいね君たち?本当に兄妹なのかい?どうやら顔見知りかどうかも怪しいようだけど…この教会の外では気をつけなよ」
とガイドさんの肩に手を当て忠告していました。
あ。そうでした。ユルバンさんにはお世話になったんでした。
「ユルバンさん、お世話になりました。このご恩はいつか返します。何かわたしに出来る事とかありませんか?」
「ふむ…今は僕から君に直接頼む事はないよ」
うう、取り付く島もなく断られました…
「…ただ」
ん?ただ?
「黒猫商会にはいつも僕から依頼を出させて貰っていたりするから、興味があるなら覗いてみるといいよ」
キラリと眼鏡の奥の瞳が光ったように見えたんですが気のせいでしょう。
「はい、黒猫商会ですね」
わたしは今の言葉を心にふかくきざみこんだ。
「澪音ちゃんそろそろお暇する?街はここを出て4~5分位の所にあるよ」
「確かにこれ以上お邪魔する訳にいかないですしお暇しますけど…何でついてくる気満々なんです貴方」
眉をひそめてそう言うとガイドさんはにっこり笑って「ガイドだからね」と言いました。
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