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「わ、滝だ!ちーちゃん、滝だよ!」
子供連れの夫婦と、その祖母らしき家族の一行が階段を上って来るのが見え、私は小瓶をポケットにしまった。
小学校一年生くらいの男の子がこちらに走って来る。それを妹らしき女の子が楽しそうに追いかける。
「りく!勝手に行っちゃ、駄目でしょ。ちーちゃんも危ないから!」
母親は慌ててこちらに走り出す。父親は祖母についてゆっくりと後ろを歩く。
そうしている間に妹の方が私の前まで来て、苔の生えた濡れた地面を踏みつけた。その瞬間に転ぶだろうと思い、体勢を低くして彼女の身体を支えた。
「おっと」
案の定、足を滑らせた少女。
「ここは滑るから、走ったら危ないよ」
彼女は驚いたような表情のまま、私の顔を見た。
しゃがんで微笑み返してはみたが、少女はすぐに駆けつけた母親の方を向いた。
「すみません……ありがとうございます」
「いえ。うちにも二人子供がいるので、何となく危ないっていうのはわかりますから」
「ほら、ちー。ありがとうは?」
母親にそう促され、嫌々彼女は口を開いた。
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