木 偶

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 嘘に嘘を重ねていくうちに、本当の自分というものがわからなくなるというのは嘘だ。  自己を偽る度に自分という人間の愚かさが色濃くなり、より一層はっきりと形作られる。  それは丁度、陽に当たった時の影のように。  その嘘の罪が強ければ強いほど、黒い姿がくっきりと現れる。  それが本当の姿だと認めることができないまま夜を待ち望み、同化することで誤魔化す。  そんな自分を嘲笑いながら坂を下って行った。  頭上近くまで太陽は昇り、私の後ろには短い影法師ができていた。
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