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二階の、八畳ほどの和室にはすでに布団が敷いてある。
端に大きなテーブルがあり、そこに置いてある座椅子の一つに腰をかける。
「ああ……」
生憎の雨で寄るところもなく、真っ直ぐ宿に向かったというのに心身は疲れ果てていた。
背負っていた紺色のリュックサックをその辺に置き、ズボンのポケットから小瓶を出し、机に置いた。
それから胸ポケットからタバコを取り出して一服する。
机上のビニール袋に手を入れてロング缶のビールを掴む。
手元の灰皿にタバコを一旦置き、缶のプルトップを上げた。
カシュッ
母をほったらかし、ぬるくなったビールを一気に呷る。
喉を鳴らしながら、半分ほど飲んで缶から口が離れる。
そしてすぐにタバコをそこへ押し込む。
「ふう……」
煙混じりの溜め息をついてまたビールを飲む。
そんな姿を母は呆れて見ていたに違いない。それに構わず、一本二本と吹かしては飲む。
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