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「しかし、じいさんに甥と姪がいたんだな」
飯塚君が渋る甥と姪をなんとか説得し、やっと取り付け工事に取り掛かった。
じいさんは興味深そうに俺の仕事を眺めている。
「………亡くなった弟の子供たちだよ」
「へぇ。近くに住んでるの?」
「まぁ、同じ市内と言えばそうなんだが」
甥と姪がどこに住んでいるかは分からないが、じいさんのことは気にかけているんだろう。
「なぁ、時田君」
少し改まった口調で名前を呼ばれる。
こう言った時は大概じいさんが真面目な話をする時だ。
俺はじいさんの声に静かに耳を澄ますことにした。
「もし時田君なら、1億円手に入れたらどういうふうに使うかい?」
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