第1章

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 主な温室効果ガスには、水蒸気と二酸化炭素があります。これらの気体は、地球が纏うマントのようなものです。ここでも、違和感がある方はいませんか。水蒸気が温室効果ガスだと聞いたことが無い人がいるかもしれません。  水蒸気は自然界で大量に発生し、雲になり、雨を降らせます。熱の循環の担い手ですので、削減しようがありません。だから、水蒸気を削減することはできません。しかし、二酸化炭素の濃度は人類がコントロールできます。大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命以降 1.4倍(280ppmが400ppmの増加)になりました。理由は、石炭石油を二百年間燃やしてきたからです。温室効果ガスの濃度が濃くなったので、温暖化が進んだのです。  2014年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)という国際組織は、二酸化炭素の排出増加が地球温暖化の主要な原因だと断定する報告書を出しました。IPCCは、世界中の気候変動に関わる研究論文を集めて議論し、気候変動に関して結論を出すために設けられた組織であり、気候学だけではなく、生物学や地質学などあらゆる科学知識を統合した「人類の英知」です。氷河が消えていく様子や深海の温度上昇などのデータを統合して結論を出しました。  地球温暖化に対して懐疑的な学者(例えば、武田邦彦氏等)がまだ残っています。個人的には、懐疑的な姿勢は科学的であり、それ自体は否定されるべきことではないと思います。しかし、彼らがよく主張する太陽の黒点の活性化が地球温暖化の原因だという研究についても、IPCCでは議論され、直接的な原因ではないという結論になっています。温室効果ガス以外に気温上昇の原因になりうる要素はないという結論でした。
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