第1章

9/15
前へ
/15ページ
次へ
2.IPCCが発行した衝撃的なグラフ  2014年IPCCより出された第5次報告書に載っていた一枚のグラフに、私は衝撃を受けました。このグラフでは縦軸は気温でしたが、横軸は時間でありませんでした。石炭石油による二酸化炭素の排出量が横軸でした。時間が横軸として書かれたグラフばかり見てきたので、時間を逆行することは不可能であり、気温を下げることは不可能なのだと私は諦めていました。百年で約0.5度上昇するペースのグラフを見て、二千年後には気温が10度上がると計算していました。気温が10度上がれば、気温50度を超す地帯が拡大します。そんな場所で人間は屋外で長時間活動ができません。人間はエアコンの効いた所で過ごすことができるかもしれませんが、農作物は炎天下で焼かれてしまいます。不毛の大地です。しかし、今回のグラフは、石炭石油の使用による二酸化炭素の排出量を横軸に使っていたので、二酸化炭素の排出量を無くせば気温上昇は止められると気がつきました。時間を逆行することに比べれば、二酸化炭素排出量を減らすことは簡単なことです。石炭石油さえ燃やさなければいいのです。今すぐ「脱・化石燃料宣言」をできないことは明らかですが、石炭石油の使用を止めれば、人類滅亡の危機は遠のきます。これは、希望です。  今世紀末に気温が2度上昇するということについて、多くの人が誤解しています。冬と夏の温度差を考えれば、2度で驚くことはないと思うかもしれませんが、平均温度がそれだけ上がると、大きな影響が生じます。動植物は自分たちが生息可能な温度帯を持っていて、少しでもその温度帯を外れたら、生息できません。死んでしまいます。アブラゼミとクマゼミの分布が変わったといわれていますが、これは平均気温が変化したからです。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加