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第二章 西暦2334年
西暦2334年。
統一政府軍基地内の訓練場で、戦闘シミュレーターを使った戦闘訓練が行われていた。
34年前、宇宙から地球へ人類共通の敵(宇宙人)が攻めてきた。
当時はまだ世界中で人類同士の宗教対立、領土問題を巡る戦争が行われていたのだが、世界中の軍隊が宇宙人撃退という共通の目的を達成するため、一つの旗印の下に集まって統一地球軍が設立された。
敵は人類が製造した Advanced War Combat Key Infinite Doll、通称 AWCKID:オーキッドと呼ばれる巨大な兵器をいくつも奪取し、それらを改良して宇宙船とともに地球上の各地域を襲った。
侵略地域では一般人を含めて大虐殺が行われ、そのせいで現在の地球総人口は34年前の10%程度のおよそ18億人まで減少した。
AWCKID・・・それは人類が戦争のために生み出した巨大ロボット兵器・・・・・。
それは、全高20m、重量74tの人型の兵器だった。
主力テクノロジーはナノマシン医療分野から発展した拡張ナノマシン技術である、Advanced Nanomachine Technology 通称 ANT:アントだ。
AWCKIDは汎用的に製造されており、航空兵器であれば戦闘機、陸上兵器であれば戦車といった通常の主力兵器を抑えて一躍最先端の主力兵器の座に収まっていた。
歩行、飛行、精密動作が可能であり、軍事大国群は競い合って高機能なAWCKID開発に莫大な国家予算をつぎ込んでいた。
そして長きに渡る戦闘の後、多大な犠牲を出しながらからくも宇宙人を撃退して人類は束の間の平和を確保した。
そこには各国がAWCKIDの最先端技術を持ち寄ったことでAWCKIDの高機能化かつ量産化に成功したことと、統一地球軍が大規模な多国籍AWCKID部隊を編成して投入したことが大きい。
だが危機が完全に去ったわけではない。
宇宙人との戦闘の教訓から、地球上の全人類は統一された政府によって管理されるようになった。
敵はまだ時期を見て侵略して来ており、その後に何度も統一政府軍は地球上で戦闘を続けている。
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