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中に入ると昔と変わらず、広い店内で、大きな机が点在。
そして、特徴的な水槽の数々。
「全然変わらない!あの頃のままですね。」
俺の腕を掴みながら、笑顔ではしゃぐ。
そんな彼女の頭をポンポンとする。
「係長!っじゃなかった。日沖さん!セクハラ!」
あの頃に戻ったみたいだった。
お互いに歳をとったが…
でも、彼女はもっと綺麗になった。
二人で定食を注文。
「日沖さん。今は?課長?部長?家は名古屋でしたよね?」
タバコをふかしながら、
「会社辞めたんだ。それに、女房とは別れた。」
別になんとも思っていなかったから、さらっと答えると、
彼女は、言葉を探すように、目を彷徨わせた。
「マナフィがいた頃、大阪にいたあの課長覚えているか?
あいつ、神戸で支店長やってるんだ。
で、そこにいたやつを虐めていたらしい。そいつが辞めた後、俺がそこに異動。
あいつ、昔のこと根に持っていて、俺に嫌がらせ。
我慢してたけど、クライアントに迷惑かけそうになるから、殴って辞めてやった。
退職金入ったし、ついでに、家を女房にやって別れた。
企業年金もあと10年そこそこで受け取れるし、ノンビリ過ごそっかなぁって。」
彼女はびっくりしすぎて、声が出ないらしい。
笑いながら、深刻じゃないし、清々したよ。と言う。
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