2/17
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
「うわあ。これも結構古いね」 「それも代々七条家に伝わる書物ですね」  旧七条邸で世話になり始めてから一週間が経った。  ジーンの言う通り、寝泊まりや食事はこの邸でし、講義や母親の見舞いが済むと増田と一緒に書庫の整理やなんかをしている。  一部屋丸々が書物をしまう部屋になっていて、膨大な量の書物を毎日少しずつ二人で片付けていた。  片付けの合間に歴史的な資料を見つければすぐ増田に聞き、知りうる限りの知識を陽聖に快く教えてくれていた。  そもそも七条家と日隠家の関係は戦国時代に遡る。  五百年余り前、この辺一帯を治めていたのが今の七条家だ。  七条家は戦略にたけ、次々に敵を攻め落として莫大な富を築いた。そしてそれに力を貸していたのが忍者だった日隠家だった。  生前の父親や増田の話によれば、日隠家は遁術にたけていた一族で、諜報活動はもちろん暗殺も行っていたという。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!