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そして元々関係の深かった七条家に手を貸し、その莫大な富を築けたのも日隠家が陰で支えていたからだ。
日隠の人間は幼少のころから厳しい訓練をさせられ、七条の人間も知らない秘密の修行をしていたらしい。
日隠家にもそういったことが記されている書物は残ってはいるものの、父親が亡くなってからは一度も目にしたことがなかった。
「やっぱ凄かったんだな、七条も日隠も」
だいぶ傷んで剥げた、紐で閉じてある表紙をそっと捲ってみるもなんて書いてあるのかは読めない。
「陽聖さんのところにもあるんじゃないですか?」
ここで世話になるようになってから増田には様づけはやめてもらった。変にかしこまるし、仕事を教えてもらう立場だからだ。
「あるにはあるけど、父さんが亡くなったときに親戚連中がいくつか持ってったらしい」
「そうなんですか。それはまた……」
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