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 寝室の外へと連れてこられた陽聖は目の前で閉まるドアを情けない思いで見ていた。  多分ここで謝ってまだここに居させてくれと言うべきだろう。だがそんなことを簡単にできるなら今こうしてうじうじ考えてはいない。  増田に間違いを指摘されれば素直に謝れるというのに、なぜかジーンには素直になれずにいた。  ――もしかして、遅い反抗期?  陽聖は特に気にしたことはなかったが、母親が言うには反抗期がなかったらしい。それが今頃ジーンに対して反抗期を迎えているのだろうか。  物思いに耽っていた陽聖は中で物音がして我に返り慌てて部屋から出る。  まだ謝る覚悟もできていないのにすぐ顔を合わせるのは気まずい。  ドアをそっと閉めると反対側にある自分の部屋へ急いで入り盛大に溜め息を吐き出した。
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