29/29
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
 例えそれが陽聖を裏切ることになろうとも関係ない。  ジーンが最優先すべきは陽聖ではなく会社だ。 「待てよ。もしうまく陽聖に取り入ることができれば印を見られるか……」  あのジーンを見つめる熱は二人の行為を見たことによる興奮ではない。おそらくジーンの身体に欲情していたものだ。  これまで気にしたことはなかったし、陽聖はストレートだと思っていたが、潜在的な同性愛者は少なからず存在する。もしそうなら、陽聖を……。  そう考えたとき、無意識に眉を潜めていた。だがもうそれに賭けるしかない。  陽聖を傷つけることに抵抗がないわけではないが、追いつめられているジーンにはもうそれしか思いつく手立てがなかった。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!