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 午後の講義を終えた陽聖は実家に帰ってきていた。 「我ながら完璧じゃね。俺も成長したもんだなぁ」  と、沁々呟く陽聖は洗濯と掃除をこなして家の中を見回しうんうんと一人頷いている。  ジーンのところで世話になり始めてからほぼ毎日誰もいない実家へと帰ってきており、母親の着替えた服や自分のものはこうして洗いに来ていた。  最初は慣れないせいで何かと面倒だと思っていたが、母親のものをジーンのところで洗うわけにもいかず、家の中も換気をして掃除をしてほしいと母親に頼まれ毎日こなしているうちに、気づけばそんな生活も苦ではなくなっていたから慣れとは不思議なもんだ。  今までやろうとしなかったこともやってみると案外楽しいし、それに母親や増田に褒められると素直にうれしかった。 「まあ俺にかかればこんなもんよ!ハッハー」  そう嘯き調子に乗るのは陽聖の悪い癖だが。  居間で仁王立ちしながら己の優秀さに酔いしれていた陽聖も独り言に飽きたのか、そろそろ帰るかと窓を閉めて戸締まりを確認すると実家を後にした。
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