122人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
そんな……。ということは、今日はこの邸にジーンと二人きりということだ。小野瀬は元々休みだから、バートが帰ってくるまでは完全に陽聖とジーンだけということになる。
なんてことだ。陽聖はあまりのショックに頭を抱えて蹲りたくなった。
ただでさえ気まずいのにどうしてこんなときに二人きりなのか。
項垂れそうになるのをなんとか堪えていると、ジーンは陽聖の荷物に目を止める。
「だから今日は俺が夕飯を作ることにした。悪いがその荷物を置いたら手伝ってくれないか」
お願いするように頼まれた陽聖はジーンが夕飯を作ることに驚いた。
料理ができることは知っていたが、まさかここにきて自ら料理するとは。
断る理由がない陽聖は頷いた。というか本来なら陽聖が作るべきなのだろうが、あいにく料理はまだ全然できない。
「う、うん。すぐに行く」
なんだかジーンがこんな状態だとこっちまで調子が狂う。違和感ありまくりだ。
だけどたまにはいいかもしれない。またいつものジーンに戻ればあれはどうだのこれはそうじゃないだのと口煩く言われるだろう。
それまではこのやさしいジーンを堪能しようと、荷物を置いた陽聖は心を弾ませながら一階へと下りていった。
最初のコメントを投稿しよう!