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 顔が触れそうなほど近くでそう問われても、密着する身体ばかりが気になって全く手元を見ていなかった陽聖にはわかるはずもないのだが、つい頷いてしまう。 「……え、あ、ああうん。わかった」 「じゃあやってみろ。今度はこっちを切ってみてくれ」  切った人参を避けると新しい人参が目の前にセットされる。  それを切ればいいんだなと、気が散漫する中覚束ない手つきで切ろうとしたもんだから手元が狂って自分の指にすっと刃先があたってしまった。 「 痛ぅ……」 「何やってるんだ!いいから包丁を離せっ」  慌ててジーンに包丁を取り上げられ、傷口から出た血の玉を舐めるように指を咥えられて動揺してしまう。 「や、バカ何す――」
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