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咄嗟に指を引こうとしてジーンを見た。
ジーンは眉根を寄せ、陽聖の抵抗をものともせずに傷口を舐めている。
その表情が自分が切ったかのように痛みを堪えているように見えて、見た瞬間に言葉を最後まで続けることができなかった。
「少しあたっただけだろう。もう血も止まっている。今絆創膏を持ってくるからちょっと待っていろ」
ドクンドクンと浅いはずの傷口が脈打っている。ジーンの舌の感触がまだ残っていて、そこから目を離すことができずにいた。
「痛いか?」
絆創膏を持ってきてくれたようだ。
ジーンに声をかけられハッとなる。
だがなぜか声が出せず、首を横に振って否定した。
「それならいい。これからは気をつけろよ。あとは俺がやるからお前はゆっくりしていろ」
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