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 絆創膏を貼り終えたジーンに背中を押されて調理場を出された陽聖は、その場で食い入るように自分の指を見ていた。  なんだか頭がぼんやりして、ふわふわとした気持ちだった。まだ胸がドキドキしている。  おもむろに指を口に近づけ、指先を食んでみる。  ――って何やってんだ俺は!  自分のしていることを自覚した瞬間指を離すと慌ててその場から離れた。  幸いジーンからは見えなかったからいいようなものの、そんな現場を見られたらそれこそ恥ずかしさで死ねるだろう。  応接間に移動した陽聖はソファーに座ると膝に乗せたクッションに顔を埋めた。  ――なんだよあれは……。意味わかんねぇし。  咄嗟にあんなことができるなんて信じられない。しかも相手は男の陽聖だ。それをなんの躊躇いもなくやってのけた。  陽聖はぐりぐりとクッションに顔をこすりつけながら、何度もその意味を考える。    ――いや、あれは別に意味はないんだ。ジーンはそういうことが咄嗟にできるキザな男なんだ、そうに違いない。
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