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 そう結論づけてみるも、それはそれでなんか虚しい。それにあんなことを平気で誰にでもするのかと思うと胸が苦しくなった。 「ハァ……」 「陽聖。できたから一緒に食べよう」  頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜているとジーンが応接間へとやってきた。  いつの間にかもうそんなに時間が経過していたらしい。  声をかけられた瞬間陽聖はなぜか逃げ出したくなり、クッションを抱えたまま立ち上がると逃げる口実を口にする。 「あ、お、俺先に風呂入ってきちゃおうかな。ジーンは先に食べてていいから。じゃあお先に!」  目を合わせないようにクッションをソファーに投げると慌ててその場から逃げようとした。だがジーンにあっさりと捕まってしまう。 「何を言ってる。温かいうちに食べよう。一人で食べるなんて味気ないだろう。それに今日は陽聖の好きなカレーだ。ほら、行こう」 「え、あ、ちょちょちょ」  捕まれた腕を引かれてダイニングへと連れてこられ、観念した陽聖はジーンに言われるがままに椅子に座った。
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