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 途中まではうまくいっていたのに、自分の行動を押し殺してまでジーンに身を預けてくれる姿を目の当たりにすると、そのいじらしさに愛しいと思う気持ちに拍車がかかってしまった。  そして空気を見事にぶち壊す陽聖のどこか抜けた様子もジーンの理性を崩し、気づいたときには陽聖に振り向いて欲しいと必死になっている自分がいた。 「ハァ……」  だが却ってよかったのかもしれない。  これで陽聖は自分のことをこれまで以上に意識するだろう。キスまでしたんだ。その意味を陽聖はちゃんとわかっている。  やり易くなったじゃないか。近いうちにベッドへ連れ込めれば。  そう思ったとき、引き絞られるように胸が痛んだ。苦しさに呼吸が浅くなる。  陽聖を好きになればなるほど自分で自分の首を絞めることになるのはわかっている。けれどここで諦めるわけにはいかなかった。これではなんのために来日したのかわからなくなるからだ。  このときのジーンはすでに止まることができないでいた。  例えどんなに自分を苦しめることになろうと、どんなに陽聖を傷つけることになろうと、もう後戻りはできないと、曇った頭では一方向に進むことしか考えられなかった。
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