戯レ?

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オルヴォ「…そんな事言って良いのかよ」 ソロ「?」 微笑みは崩さず、首を傾げて見せるソログープ。 周囲に世話しなく動く気配はするが、二人きりと言う状況も手伝い、自然と手を伸ばしていた。 ソログープの長い髪のひとふさを拾い上げ、口許に寄せる。 オルヴォ「……この間から、アンタの事をずっと考えてた。」 ソロ「光栄ですわ。」 落ち着いたトーンで答えるソログープ。 オルヴォ「………。光栄、ね。」 意地悪く、手にした髪をツン、と一瞬引っ張る。 オルヴォ「けど、アンタは誰にでもそう言うだろ?」 ソロ「…。」 挑発的な言葉で詰られても、ソログープは答えず微笑み続けてる。 気持ちがざわつく。 このざわつきは、たぶん目の前の相手のせいによるものではない。 ずっと昔からある、守れなかった者たちへの後悔や、奪った者たちへの憎しみだ。 目の前の相手による気持ちのざわつきに、他の思い出したくないものまでも呼応してざわめきだす。 (それとも…) と、オルヴォは思う。 (また誰かと肌を合わせれば…) 忘れられるだろうか? ソログープの光を映さない闇色の瞳は何も語らず、オルヴォの双眸を見ている。 オルヴォ「アンタの言葉は客に向けるものだとわかってはいるんだがな…。」 自嘲とも苦笑ともとれる複雑な笑みを浮かべ、オルヴォはソログープから視線をはずし、その髪を離した。 ソロ「…それだけですか?」 オルヴォ「…あ?」 ソロ「私の存在だけが、オルヴォ様の心を乱している訳ではないでしょう?」 オルヴォ「…?!」 確信めいた物言いに、オルヴォは動揺する。 見透かされたような気がした。 ソロ「あら、やはり私だけではないのですね。」 言葉につまるオルヴォに対し、ソログープは突然明るい声をあげると、クスクスと楽しげに笑い出した。 オルヴォ「Σ…テメ、カマ掛けたな!」 ソロ「さぁ…?」 微笑みながら惚けるソログープ。 オルヴォ「…ちっ」 相手に翻弄され、一気にグラスを空にするとずいっとソログープに突きつけた。 オルヴォ「次!」 ソロ「はい。」
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